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税理士法人ヤマト

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2023年2月18日NEWS

相続開始後でも実行可能な3つの相続税の節税対策 №①

相続税の節税対策は、生前に行うのが定石です。王道は年間110万円までの非課税枠を活用した「暦年贈与」配偶者,子供,孫などまで贈与する人の対象を拡げ長期間に渡って行うほど、効果があります。実行している方は多いことでしょう。生命保険金の法定相続人一人当たり500万円の非課税枠の活用もよく知られている手法です。生命保険金は保険金受取人固有の財産となり、遺産分割協議の対象外ですので、預貯金のように遺産分割協議完了まで凍結されることもなく、使い勝手がよいです。

マンションを購入して賃貸することを実行している資産家の方も多いでしょう。現預金を不動産に組み替え賃貸すると5割以上の評価減となります。これらの節税対策は被相続人の生前、かつ、被相続人が法的意思能力を有している時のものであり、相続開始後には実行できません。

相続開始後だと何も打つ手はないのかと言われれば、手段はあります。本日は、相続開始後でも実行可能な3つの相続税の節税対策をお伝えします。

相続開始後でも実行可能な3つの相続税の節税対策

 相続開始後は贈与による節税対策は取れませんので、遺産分割の仕方によって、納付する相続税額に差が生じます。遺産取得者によって相続税額が異なる「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」「配偶者居住権」の活用ポイントをご紹介します。

一つ目の相続税の節税対策
配偶者の税額軽減の概要

 配偶者の取得した財産の内、1億6千万円と法定相続分のどちらか大きい金額に対応する相続税は減額されます。配偶者の老後の生活保障を考慮した制度です。夫婦のどちらかが先に亡くなった一次相続で「配偶者の税額軽減」を活用すると、相続税が軽減できます。全ての遺産を配偶者が取得した場合には、納付すべき相続税額がないことも珍しくありません。

 この制度の活用において気を付けるべきことは、一次相続で多額の遺産を取得した配偶者が亡くなる二次相続の時に、「配偶者の税額軽減」を使えず、さらに、600万円の基礎控除額が減少するため、納付する相続税額が多額になりがちなことです。

活用事例・・・相続税の計算プロセスは省略

 85歳で亡くなった被相続人の遺産は1億6千万円。相続人は、83歳の妻と55歳の長女と52歳の次女。妻は両親の相続により資産を1億円所有。妻は本人の年金と夫の遺族年金支給額の範囲内で生活しているので、妻の死亡時まで妻の資産の増減はない。夫の相続後、妻は認知症を発症したため、生前贈与対策を実行できず。妻は90歳で死亡。一次相続の相続人は3名であり基礎控除額は4千8百万円、二次相続の相続人は娘二人で基礎控除額は4千2百万円。

 <一次相続で妻が遺産の全てを取得した場合>・・・二次相続の遺産2億6千万円
 一次相続の相続税額0円。二次相続の相続税額53,200,000円。
 相続税の合計額53,200,000円。

 <一次相続は法定相続分で相続した場合>・・・二次相続の遺産1億8千万円
 一次相続の相続税額7,400,000円。二次相続の相続税額27,400,000円。
 相続税の合計額34,800,000円。

 <一次相続は娘二人で相続した場合>・・・二次相続の遺産1億円
 一次相続の相続税額17,200,000円。二次相続の相続税額7,700,000円。
 相続税の合計額24,900,000円。

活用のポイント

活用事例では一次相続で娘二人が遺産の全てを取得した場合が相続税の合計額が少なくなりました。実際の活用に際しては、配偶者の資産状況、ライフサイクルコスト、健康状態、配偶者の生前の相続対策などを勘案し、シミュレーションを重ね一次相続の遺産分割方法を決めるとよいでしょう。

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