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税理士法人ヤマト

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2023年1月28日NEWS

独りで相続対策を実施した3つの実例からわかる専門家に相談すべき理由 №①

自宅に取り残された父親を助けようとしたため津波で同時死亡した親子がいます。その父親は自宅をその子に相続させる遺言書を作っていました。同時死亡の場合、遺言書の効力は生じるのでしょうか?生じない場合、どのような一文を加えておけばよかったのでしょうか?

 夫婦は一つの財布とばかりに夫婦間で預貯金移動を行っていた場合、贈与税や相続税の課税関係は生じるのでしょうか?余裕資金がある場合の相続対策の定石である生命保険金の非課税枠の活用は、意外と実施されていません。何故なのでしょうか?

 独りで相続対策を実施した3つの実例を基に、相続対策の専門家に相談すべきであった理由を記します。独りで対策を実施されている方や後回しにされている方は、ご参考にされてください。

一つ目の実例 「同時死亡により公正証書遺言無効」

 宮城県の鈴木さん(仮名)は次男夫婦と3人の孫と楽しく暮らしていましたが、一つだけ寝ても覚めても気になることがありました。偏屈で次男との仲が険悪な長男の存在です。有名国立大学の博士課程まで進んだ長男は鈴木さんの自慢の息子でしたが、独善的で物事に拘り抜く性格の故か、周囲の人々との間に人間関係のトラブルを抱えていました。

 何の手も打たずに死んでしまったら「実家は長男の俺が相続する。お前たちは出ていけ!」と長男は次男に執拗に迫るに違いないと考えた鈴木さんは、甥と姪を立会人に「全財産を次男に相続させる」と記した公正証書遺言(※1)を作成しました。地方公務員であった鈴木さんは行政実務経験を活かして相続対策の専門家(※2)に相談することなく独りで遺言書を作成し、「これで次男の家族は自宅を出ていかずにすむ」と安堵していました。

 遺言書作成から10年が過ぎた2011年3月11日の東日本大震災発生時、ディケアに行く予定が変わった鈴木さんは独りで自宅にいました。周囲の人の制止を振り切り自宅に駆け付けた次男が妻と最後に交わした言葉は、「津波が来ているので父親を二階に上げる」でした。津波によって自宅は跡形もなくなり、1週間後に、二人の遺体が見つかりました。

 2011年3月11日15時頃が二人の死亡推定時間です。死亡時の状況が判明しないため二人ともに同日同時刻に死亡したとみなされました。財産を持つ人(鈴木さん)が自分の死後に財産をどのように処分するかを指定したのが遺言書であり、次男は鈴木さんの死後に生存していないため、遺言書は無効となってしまいました。

 鈴木さんは、残念ながら、自分よりも早く次男が死亡することや同時死亡について、可能性はあるにも関わらず、ないものとしてリスクヘッジをしなかったのです。それでは、鈴木さんはどのようにすればよかったのでしょうか?「鈴木さんの死亡前または鈴木さんと同時に次男が死亡した場合、鈴木さんの財産は次男の子に相続させる」との一文を設けておけばよかったのです。

 ※1「公正証書遺言」

   公証人(裁判官や検察官などの法律実務経験者の内所定の基準に選ばれた人)が遺言者と2名の立会人の意思確認を行って作成する遺言書。遺言者が120歳になるまで日本公証人連合会にて電子保存されます。

 ※2「相続対策の専門家」

   遺言書や任意後見契約書及び信託契約書作成手続きを行う弁護士や司法書士、相続税や贈与税の試算を行う税理士、財産の組み換え提案を行う金融機関や保険会社及び不動産会社などの部分的な対応に留まらず、様々なジャンルの幅広い知識と専門家を繋ぐネットワークを有し依頼者の将来リスクを見通せて相続対策の全体設計ができる人。国家資格はなく「依頼者の未来を担う覚悟」が必要。

 断片的な知識や思い込みでは対策を取ったつもりが効果を発揮しない場合もあります。何の対策も取らず遺族に遺せるお金を減らしてしまうこともあるのです。結構大胆なことを平然とされていると感じることは多々あります。信頼できる相続対策の専門家と巡り合えると財産を遺す人も受け取る人も安心できるのではないでしょうか。

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