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税理士法人ヤマト

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2023年1月14日NEWS

3人の実例を通して子供のいない人が覚えておきたい3つの相続対策 №②

最近、子供がいない人の相続税申告の依頼や相続対策の相談が多くなっています。価値観が多様化している社会状況を考えると、今後、同様の申告依頼や相談は増えていくでしょう。

相続税申告を受託した鈴木さん(仮名)と木村さん(仮名)及び相続相談を受けた佐藤さん(仮名)の実例を通して、相続対策を取らなかった場合に起きた(起きる)ことを確認し、子供のいない人が覚えておきたい3つの相続対策を書いてみます。

二つ目の実例 夫の連れ子に自宅を遺した木村さん

 35歳で先夫を亡くした木村さんは、身の回りのお世話をしていた母親が亡くなった後に妻に先立たれた下村さんと出逢い再婚しました。成人していた夫の連れ子の二人の娘と一緒に暮らすことはなく、二人とも木村さんの養子にしなかったので、木村さんには子供がいませんでした。

 夫の死亡後の生活に不安を感じていた木村さんは、夫の二人の娘にお願いして相続放棄をしてもらい、自宅と預貯金などの遺産の全てを相続しました。その後、二人の娘とは夫の法要で会う程度であり、身の回りのお世話や入院手続きなどは近くに住む姪(長兄の娘)にしてもらっていました。木村さんは次兄の奥さんとの折り合いが悪く甥(次兄の息子)とは長い間会っていませんでした。

 夫から受け継いだ自宅は夫の娘に遺したいし、他の財産は親密な姪に遺し、疎遠な甥には遺したくないと考えた木村さんは、作成した遺言書を銀行の貸金庫に保管しました。

 子供や孫の縦の関係の相続は法定相続人であることを証明し易いのですが、姪の場合には本人が法定相続人であることを銀行などの第三者に証明するために、木村さん,木村さんのご両親,木村さんの二人の兄計5名の戸除籍謄本が必要であり、これらを収集するのに一苦労します。さらに、木村さんと疎遠な甥との連名実印を押印した「貸金庫解約申請書」を求められ、甥に説明するのも一苦労でした。その上で、相続手続きを進めるために、見つかった遺言書の検認を家庭裁判所に依頼しました。

 姪は、こんな面倒ならば、公正証書遺言書を遺してくれたらよかったと思ったものです。

相続対策を取らなかった場合に起きた(起きる)こと
 木村さんの場合

 遺言書がなかった場合は、夫が遺した自宅を夫の娘に遺したいとの木村さんの意向は叶わず、嫌いな義姉の疎遠な息子にも木村さんの遺産の半分は遺されてしまったでしょう。

 子供のいない人が覚えておきたい3つの相続対策 №②

二つ目の相続対策 「任意後見契約書の締結」

 鈴木さんも木村さんも、体調が悪化してから短い期間で亡くなったので、ご自身の介護施設入居費用などに充当するために銀行から多額の引き出しや口座解約をする必要がなく、また、ご自身が夫の法定相続人として遺産分割協議を行うこともなかったので、成年後見人の選任手続きを行うことはありませんでした。

 銀行口座の解約や遺産分割協議などのために成年後見人を選任した場合、被後見人が亡くなるまで成年後見人に月額数万円の後見料を支払い続けるなどのデメリットを避けるために、親族などを任意後見人とする任意後見契約を公証人役場で締結することを、公正証書遺言書と合わせてお勧めしています。任意後見監督人報酬が生じますので、費用は0ではありませんが、成年後見人報酬よりも安価で、家裁が決める他人の後見人ではなくご自身が決める親族などを後見人にできますので安心です。

 百人いたら百人それぞれの相続対策があります。人間関係も遺したい財産の内容も死後の不安やこのようになったら嬉しいと期待することも、一人として同じものはありません。信頼できる「相続対策の専門家」(※)との出逢いの機会を求め、信頼できる専門家であれば、ご自身のお気持や親族関係を明らかにされると、望ましい対策を実行できるでしょう。

※「相続対策の専門家」

   遺言書や任意後見契約書及び信託契約書作成手続きを行う弁護士や司法書士、相続税や贈与税の試算を行う税理士、財産の組み換え提案を行う金融機関や保険会社及び不動産会社などの部分的な対応に留まらず、様々なジャンルの幅広い知識と専門家を繋ぐネットワークを有し依頼者の将来リスクを見通せて相続対策の全体設計ができる人。国家資格はなく「依頼者の未来を担う覚悟」が必要。

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